多炭種対応制御

制御システム

概要

多炭種対応制御は、独自の考え方により、ボイラの各伝熱面のヒートバランスから、石炭の性状・ボイラの燃焼状態を総合的に監視して、最適な制御を実行させる演算アルゴリズムです。

本システムはDIASYS Netmationのコンポーネントを利用して提供します。

特長

豊富な納入実績

多炭種対応制御は、1997年に所号機納入以降、超臨界圧変圧貫流ボイラプラントに対して、多数納入しています。また、ドラム型ボイラプラントについても、一部の機能について納入しています。

炭種切り替えに伴うパラメータの切替操作が不要

プロセスからのボイラの伝熱面状態を推定し、ボイラの制御パラメータを自動設定するため、炭種または炭種グループが異なる石炭を受け入れるたびに実施していたパラメータの切替操作が不要となります。

多炭種対応制御では、混炭での運用においても、ボイラの制御パラメータを自動設定することが可能です。

新規石炭受け入れ時の調整期間の短縮

新規に受け入れることになった炭種においても、燃焼調整により機械的に運転可能であれば、多炭種対応制御により、APC調整期間を従来よりも短縮または削除することができます。

機能

多炭種対応制御は、次のような機能を提供します。

炭種による特性変化(熱吸収特性、発熱量)

熱吸収分布の推定(吸収熱量指標)

各伝熱面の吸収熱量を推定することにより、ボイラ吸熱状態に応じた制御パラメータに補正することができるため、炭種グループごとの切替方式に比べて、より最適な制御パラメータを与える事ができます。

発熱量の補正

各伝熱面の吸収熱量を推定することにより、石炭及び空気の入熱並びにボイラ出口のガス出熱をオンラインで演算することができます。この入熱と出熱の関係から発熱量を推定し、燃料パラメータを精度よく補正することができます。

石炭水分率推定

ミル内のヒートバランスから石炭水分率を推定することにより、ミル電流、ローラリフトなどとあわせて、石炭柱状の変化を把握し、ミル出口温度、ミル回転分級機回転数、ミル加圧装置油圧などのミル関連パラメータを自動設定することができます。

ミル負荷率推定

ミルモデルを用いたモデル計算より微粉度、HGI(Hard Grove Index)を推定することにより、石炭水分率推定とあわせて、ミルの基準容量を補正し、実際の給炭量からミル負荷率を推定することができます。

ボイラ特性の経時変化

伝熱面の汚れ推定

各伝熱面の吸収熱量を推定することにより、熱伝導率をオンラインで演算することができます。ボイラ燃焼継続するとともに、熱伝達率が低下し、インターバル時間運用と組み合わせて、スートブロワの最適噴射タイミングの指標とすることができます。

システム構成


多炭種対応制御

ファジイ手法によるリアルタイム演算

ファジィ手法を用いて伝熱面を状態推定することにより、熱吸収状態から炭種の影響をリアルタイムで精度よく把握することができます。

ソフトロジックによる構成

多炭種対応制御回路は、全てDIASYS上のソフトロジックであるIDOL(Interpreter DDC Oriented Language)で構成可能です。

既設システムからの拡張性

一部のセンサー(注)を除き、多炭種対応制御に必要なセンサーはプラント制御装置(APC)に取り込まれています。

  • RHスプレイ水流量、一次RH入口蒸気流量、脱硝入口ガス温度

仕様

ハードウェア仕様

多炭種対応制御で必要なハードウェア仕様は下記の通りとなります。

型式 DIASYS Netmation
(CPU2重化、PIOシングルシステム)
構造 IP-33(防塵・防滴仕様)
環境条件 0~55℃、最大90%RH
盤面数、寸法 1面、2,300mm(H)×800mm(W)×800mm(D)
絶縁抵抗 DC500V / 5MΩ以上
(電源装置、またはI/OモジュールとFG間)
耐電圧 電源装置とFG間 1a
デジタルI/O端子とFG間 1a
アナログI/O端子とFG間 1b
塗装(外面、内面、チャンネルベース) マンセル5Y7/1(半艶)
その他 専用保守ツール、ゲートウェイ装置
  • DIASYS Netmation以外のシステムとインターフェースする場合

ソフトウェア仕様

多炭種対応制御で必要なソフトウェア仕様は下記の通りとなります。

変圧貫流ボイラ 定圧貫流ボイラ ドラムボイラ
記述言語 IDOL
演算速度 100msec
制御ループ数 搭載機能及び既設システムによります。
吸収熱量指標
(最低3炭種での負荷変化試験が必要)
×
発熱量補正 ×
伝熱面汚れ
石炭水分率
(ミル毎に推定)
ミル負荷率
(ミル毎に推定)