M501JAC形ガスタービン2基を中核とする80万kW級コジェネ設備の発注内示を受領 カナダのサンコー・エナジー社からオイルサンドの石油抽出用蒸気・電力供給向けとして

発行 第 210号

◆ アルバータ州北東部のオイルサンド製油所で、2022年後半に運転開始
◆ 石油コークス焚きボイラー設備を代替して環境負荷低減、電力は外販

 

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、カナダの総合エネルギー企業であるサンコー・エナジー社(Suncor Energy Inc.)から、J形ガスタービンシリーズの最新機種である空気冷却方式のM501JAC形2基を中核として80万kW級の出力を備える天然ガス焚きコジェネレーション(熱電併給)設備の発注内示を受領しました。同国アルバータ(Alberta)州にあるオイルサンド製油所の石油抽出プロセスに蒸気を供給するとともに外販用電力を発電するもので、既存の石油コークス(Petcoke:Petroleum Coke)(注)焚きボイラー設備と置き換えることで、地球環境負荷の低減および売電収益の確保を狙います。設備の運転開始は2022年後半を予定しています。

 このコジェネ設備を設置するサンコー・オイルサンド基地(Suncor Oil Sand Base)は、アルバータ州の北東部に位置しており、現在は石油コークス焚きボイラー3基からなる設備で蒸気を製造しています。これをガスタービンと排熱回収ボイラーなどで構成されるコジェネ設備に更新することにより、排ガス中に放出する有害物質やCO2を大幅に削減することが可能となり、併せて高効率で電力を生み出した分のCO2削減効果も見込めることとなります。

 本件は、M501JAC形ガスタービン、排熱回収ボイラー、発電機などを2系列供給するプロジェクトです。ガスタービンは、当社の高砂工場で本体部品や補機を製作し、当社米国法人の生産拠点であるサバンナ工場(米国ジョージア州)で組み立てを行います。発電機は三菱電機株式会社製を採用します。

 サンコー・エナジー社は、1967年設立でアルバータ州カルガリー(Calgary)に本社を構え、国内外で原油や天然ガスの探索や開発、製造・販売を手掛けています。カナダ国内では、オイルサンド製油所4ヵ所を運営してオイルサンド由来の石油については世界最大級の生産量を誇り、「Petro-Canada」ブランドのガソリンスタンド約1,500ヵ所を展開。そのほか、同国最大のエタノールプラント運営や風力発電事業にも取り組んでいます。

 J形ガスタービンシリーズは、世界最高水準の高効率運転を実現する当社の主力機器です。2009年の市場投入以来国内外で順調に受注を拡大しており、その受注累計は今回で57基に達しました。うち26基が商業運転を開始しており、累計運転時間はJ形全体で50万時間を超えています。

 MHPSは、今回の採用を弾みに、北米をはじめ世界各地で最新鋭機であるJ形ガスタービンを中核とする発電・コジェネ設備の普及に一層力を注ぎ、世界各地の経済発展に不可欠な電力の安定確保、ならびに資源の有効利用と環境負荷の低減に貢献していきます。

  • アスファルト級の重質油をコーキング装置で処理して熱分解したときの残渣分で、主成分は炭素です。

以上